小悪魔な彼
 
そんな颯太の言葉に少しだけ寂しくなり、じっと見上げていると、


「なんですか?そんな顔で見つめてると、この場で襲いますよ」
「!!」


また、小悪魔な顔を向けられ、慌てて目を逸らした。


だけど……
やっぱり寂しいじゃん。

もうちょっと、タメ語で話したいとかねばってくれればいいのに……。


「タメ語は、時を見て変えます」


そっぽを向いているあたしに、なだめるような声で颯太は言った。


「ここぞというときに……。
 じゃないと、本当に暴走してしまいそうなので……」


少しだけ、苦しそうな顔。

もしかして本当に、颯太は自分を抑えているのかもしれない。

あたしはそんな颯太の腕をそっととった。


「……香澄?」

「じゃあ、せめて……
 ちゃんと触れててよ……」

「……はい」


一瞬きょとんとした表情を見せ、優しく微笑む。

そして颯太は、あたしを抱きしめた。
 
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