小悪魔な彼

「やっぱり、帰るのは惜しくなっちゃうね」


最寄駅の改札手前、別れを惜しむあたしたち。

二人で過ごすクリスマスは、あっという間に過ぎてしまった。


学校だと無条件で会えた。
だけど休みが続くと、約束しないと会うことが出来ない。


「休み中、いつでも俺は香澄に会いに行きますよ。
 寂しいのでしたら、毎日」

「毎日って……。
 でもそんなこと言ったら、明日も連絡しちゃうよ?」

「待ってます」


にっこりと返す颯太。

そんなふうに返されたら、本当に甘えてしまいそうだ。


「そういえば」


ふと、颯太が思い出したかのようにあたりを見渡す。


「今日はいないんですか?例の男」
「例の?あ、猛にぃのこと?」
「……はい」


名前を出して、明らかに不機嫌になる。

ちょっとだけ笑えた。
 
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