小悪魔な彼
「さすがにいないよ。
今日はもう、自分の家に帰るって言ってたし」
「ならいいですけど……。
今日も泊まりなんて言ったら、俺も押しかける気でした」
「もうっ……」
どこまで本気なのか分からない。
だけど明らかに、すねた顔をしている。
「分かってます?
俺、結構不安になってるんですよ?」
「え?なんで?」
「当たり前じゃないですか。
俺の知らない香澄を知っている男が急に現れて……。
しかも香澄より年上だし……」
その言葉に、思わず吹き出してしまった。
颯太があまりにも、可愛いことを言ってくれるから……。