小悪魔な彼
「颯太は心配性だなぁ……。
あたしはもう、颯太しか見えないから大丈夫だよ。
年上とか、そんなの関係ないし」
「……」
「だからそんな顔しないで」
顔だけ見上げ、にこっと微笑む。
颯太はバツが悪そうにすると……
「じゃあ、キスしてください」
「ええ!?」
とんでもない要求をしてきた。
「俺が好きって言う証明を、ここで見せてください」
「で、でもっ……こんな改札の目の前でっ……」
「柱が邪魔して、見えませんよ」
「……」
確かに、人の邪魔になるからと、柱へよけて話していた。
それが良くも、改札へ向かう人たちから姿を消してくれている。