小悪魔な彼
 
なんで、また猛にぃが駅にいるの?


改札を通らずに立ち止まっていると、猛にぃがあたしの存在に気づいた。

そして


「おお」


と、手を上げる。


「……俺も出ますよ」
「え?」


颯太は、あたしと一緒に改札を出た。


「なんでここにいるの?」
「ひでー言われようだなぁ……。
 ってか、別にお前を待ってたわけじゃねーよ」
「え?」


てっきり、またあたしを迎えに来たのかと思った。

だけどそれはあたしの思い違いで、猛にぃはあたしを待っていたわけじゃないらしい。


「それはそうと、彼氏?」
「え?あ………うん」


猛にぃは、颯太へと目線をずらす。

颯太は猛にぃと目が合うと、


「初めまして。
 峰岸颯太です」

「おう。
 香川猛だ」


二人は軽く自己紹介をした。
 
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