小悪魔な彼
結局、峰岸くんはそれ以上問い詰めることはなかった。
そして次の日、約束通りの放課後になる。
「あれー?
今日は颯太くん、来ないんだねー」
「ん。あたしが迎えに行くことになった」
「え!マジで?!もしかして、香澄の気持ちにも変化が?!」
「ない」
勝手に盛り上がる朱里を、ばっさり否定する。
朱里は唇を尖らせ、ぶーぶー文句を垂れていた。
「颯太くん、イイコじゃーん」
「イイコだけじゃ、恋愛には発展しないの」
「じゃあ、颯太くんが年上だったらどうだったの?」
「……」
それを言われて、答えられない自分がいた。
正直、峰岸くんといて、楽しいのは事実。
年下だけど知識が豊富で、いろんな会話を楽しめる。
時々、無知のあたしをバカにするところが玉にきずだけど……。
「もしもの話をしても意味はない」
「もー!」
あたしは、それ以上考えるのが嫌で、嘆く朱里を無視して、1年の教室に向かうことにした。