小悪魔な彼
「香澄ちゃん、こっちこっち!」
約束していた、テーマパークの前。
大きく手を振る葵ちゃん。
あたしは小さく手を振り返し、颯太を連れてその場へ歩いた。
「今日はありがとね!」
「ううん。あたしも葵ちゃんと遊びたかったし」
にこにこと笑う葵ちゃんとは裏腹に、隣にいる猛にぃはにこりともせずあたしを睨む。
だから、昔からその目が苦手だ。
「じゃあ、行こう!」
「うん!颯太も行こ」
「はい」
颯太はあたしたちの後ろを歩く。
今日ばかりは、葵ちゃんに気を使っているのか、いつもみたいにくっついてくることはなかった。
それはそれで、やっぱりちょっとさみしい。