小悪魔な彼
やっぱり、ちょっと緊張するなぁ……。
いくら後輩のクラスと行っても、学年の違うあたしは、先輩とはいえアウェーだ。
たまにあたしの上履きのカラーに気づいて、疑問の目を向ける生徒もいた。
ようやくたどり着いた3組。
すでにHRは終わっているようで、中の様子はガチャガチャとしている。
あまり扉には近づきすぎず、あたしは廊下の片隅からそっと中を覗き込んでいた。
峰岸くんは、友達と話しながら教室の掃除が終わるのを待っているみたい。
日直は、掃除監督をしたあと、日誌を記入して先生に届ける、という仕事があるのだ。
声をかけようとは思ったけど、友達と話している手前、あたしは教室から見えない位置で壁にもたれかかっていた。