小悪魔な彼
迷路への道は、いっさい口を出さなかった。
猛にぃが思ったように進んでいく。
会話は何もない。
だけどしばらくして、猛にぃが口を開いた。
「お前さ、いつまでそういう態度とってんの?」
「え……?」
それは、怖い質問だった。
「昔っからお前は、俺にたいして怯えてばっかだよな」
「……だって……」
「なんだよ?」
「猛にぃは……いつもあたしをいじめるから……」
あたしには、猛にぃに意地悪されたことしかない。
「ふーん……?
それを根に持ってんだ?」
「……」
それだけじゃない。
もう一つ……
猛にぃとは距離を置きたい理由があった。