小悪魔な彼
しばらくして、教室の中の生徒はだいぶはけてきた。
残っているのは、おそくら掃除当番の人くらい。
廊下もだいぶ落ち着いてきている。
ってか、もういないんだ……。
あたしは、落胆する気持ちでいっぱいだった。
あたしが3組の教室に迎えに行くと、気持ちが変わった理由……
それが今、意味をなしてない。
せっかくここまで来たのに……。
そう思って、深くため息を吐こうとした瞬間だった。
「あれ?2年がどうした?」
「……!!」
頭上から突然聞こえた声。
思わず、吸い込んだ息を飲み込んでしまう。
あたしは間抜けな顔をしたまま、その声の主のほうへ向いてしまった。
「なんだ、雪本か」
「三浦先生っ……」
そこには、3組の担任の、三浦智也先生がいた。