小悪魔な彼
 
「猛にぃは、あたしをただの暇つぶしにしたいだけじゃんっ!
 そんな対象に当てないでよ!」

「まだわかんねぇの?」

「え?」



声を低くして、急に真面目な声色になる。

思わず、反論を続けようとした口がとまった。


「暇つぶし?
 お前、たったそのために理由で、わざわざ向こうからこっちに来ると思うか?」


目を細めて、あたしを見つめる。

急なその態度に、ドクンドクンと心臓が波打つ。

 
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