小悪魔な彼

　
「最近どうだ？ちゃんと数学できてるか？」
「はいっ、先生のおかげで、数学だけ成績イイです」
「それはそれでなんだかな……」


あたしの言葉に、「はは」と苦笑する三浦先生。

その困ったような笑顔……好き。


「それじゃあ、数学以外も教えてくださいよ」
「無理無理。俺、数学以外、バカだから」
「人のこと言えないじゃないですか」
「そうだな」


今度は、苦笑いじゃなくて、ちゃんとした笑顔を見せた。


やっぱり、そっちの笑顔のほうが好き……。


「そういえば、なんでこんなとこにいるんだ？
　うちのクラスの誰かに用事か？」

「あ、えっと……」

「香澄先輩？」


その時、あたしの話し声に気づいた峰岸くんが、教室からひょっこり顔を出した。