小悪魔な彼
「あたしは……そんな理想なんて最初からない。
颯太くんを一目見たときから、好きになるかもって予感してたの。
だけど香澄ちゃんの彼氏だから抑えなくちゃって……。
でもそんなふうに香澄ちゃんが言うんなら、あたしは引けないよ!」
目をうるませて、颯太くんに迫った。
たいていの男なら、これくらいで落ちる。
どんなに彼女がいる男でも、少しでも心当たりがあるような不安を掻き立て、そこに付け込んであたしが迫れば……
「……」
「そ、颯太くんっ……」
颯太くんは、あたしの両肩を掴んだ。