小悪魔な彼
 
あたしが接してきた颯太くんは、いつも丁寧な口ぶりで、同学年には思えないような振る舞いだった。

こんな口調だって、使ったことない。


「ごめんね、冷たく当たって。
 だけど葵ちゃん、完全にその姿、二面性でしょ?
 ぶりっこしてんのバレバレ」

「…っ」


少し憐れむような顔で微笑む颯太くん。

なんでそんなことが分かるわけ?


「で?香澄は今、どこにいんの?」

「し、知らないっ……家かどっかじゃないの?」

「そ」


答える気がないと思ったのか、颯太くんはあたしに背を向ける。


きっと香澄ちゃんのもとへ行くつもりだ。
 
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