小悪魔な彼
 
「猛…にぃ……」


男の人の部屋。
二人きりのベッドの上。


たとえ相手が猛にぃじゃなかったとしても、あたしを怯えさせるのには十分だった。


「……そんな目で見んなよ」


切なげな瞳で、あたしの頭に片手を添える。
思わず、ビクッとしてしまった。


「ほんとお前は、俺に怯えてばっかだよな」
「だ……って……」
「俺が小さい頃、お前をいじめてたからだろ?」
「……」


特別、暴力をふるわれたわけじゃない。

だけど小さい頃、顔を合わせればいつもバカにされてた。


「仕方ねーじゃん……。
 素直になれなかったんだからよ」


頭を撫でていた手が、頬へと降りていく。


ドクンドクンと、心臓が響いていく。
 

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