小悪魔な彼
「それじゃあ、今日も一緒に帰りましょうね。
掃除が終わったら、昇降口で待っててください」
元気よく手を振って、風のように教室を去る。
「はぁ~……」
あたしは大きくため息をついた。
「相変わらず、愛されてるねー」
ひやかしを交えて、仲のいい朱里があたしの元まで来る。
「ほんと勘弁して……」
「いいじゃん。だって颯太くん、めちゃめちゃカッコいいと思うけどなー」
「そう思うなら、変わって」
「それを決めるのは颯太くんでしょ」
最初から、変わる気なんてさらさらないといった顔でにやつく朱里。
あたしはじと目で朱里を睨むと、もう一度大きくため息とついた。
「はぁ……
なんでこんなことになっちゃったんだろう……」
今更悔やまれる先週の出来事。
あたしはそのことを思い出していた。