小悪魔な彼
「それよりも、今日は何してたんですか?」
「え?あ……」
正直に、猛にぃの家にいたと話すべきか悩んだ。
猛にぃの家と言っても、一緒にいたのは葵ちゃんだから……。
でも……
「駅前まで出て、適当にブラブラしてたよ」
あたしは嘘をついた。
葵ちゃんが、あたしに黙って猛にぃの部屋からいなくなったことが気になった。
そして猛にぃの告白が、颯太に罪悪感を感じてしまったから……
「……そうですか」
嘘をついたことがバレてるのかもしれない。
颯太は少しだけ間を開けて頷いた。
「香澄」
「何?」
「キス、してもいいですか?」