小悪魔な彼
 
「な、何言ってんのっ…
 こんな道の往来でっ……」

「暗くて見えませんよ。
 それに周りに誰もいないじゃないですか」

「……」


そんなこと、最初から分かってた。

だからこそ、返事に困る。


「まあ、ダメって言ってもしちゃいますけど」

「コ、コラッ……」


あたしの小さな抵抗は意味がなく、頭を引き寄せられ、口づけられた。


「……」


唇を離して、目の前にいる颯太を見つめる。

キスからも伝わったけど……



「どうしたの?」



颯太はどこか、不安そうな顔をしていた。
 
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