小悪魔な彼
「香澄みたいな女は、たとえ無理やり体を奪ったって、俺のモノにはなんねーよ。
そんなことしても、ますます颯太に守られるだけだ。
だからまず、心のほうのガードをゆるめねーとな」
「ふーん……。
でも、フラれちゃ意味ないじゃん」
「今はいいんだよ。
少しずつ二人の間に、ヒビを入れれば。
とりあえず、俺にたいしての恐怖感はなくなったみたいだから、これからは近づきやすくなったしな」
「あ、そう。
ってあたし、年明けには帰んなくちゃなんないんだけど」
「帰れ帰れ。
あとは俺がやっとくから」
「それじゃあ、結局颯太くんのこと、落とせないじゃーん!」
うるさいくらい、ピーピーと嘆く葵。
もともと、葵が颯太を落とそうが落とせまいが関係ない。
俺が香澄を落とせればいいだけの話だから。
「お前はおとなしく、地元で男作れ」
「……」
香澄にふさわしい男は、絶対に俺だ。