小悪魔な彼

この前の、猛にぃの部屋で寝てしまった日の夜、葵ちゃんから連絡が来た。

なんでも、友達から急に呼び出されたらしく、あたしを起こしてみたけど起きなかったと……。
猛にぃが帰ってくる前に戻ってくるはずが、予想以上に時間がかかって、猛にぃよりも遅くなってしまったらしい。


それはそれでいい。


だけど……



(颯太くんのこと……

 好き…になっちゃったみたいなの)



あの時の言葉を思い出す。


葵ちゃんは、やっぱりまだ、颯太のことが好きなんだろうか。

べつにあたしと颯太を引き離そうとしているわけじゃないみたいだけど、それを聞いていい気はしない。


「やっぱ、東京の神社は人がすごいねー!」
「まあ……毎年こんなもんだよ」
「ひゃー!これでも早く起きて頑張ったんだけどな」


あたしの横に並び、平然として話す。

颯太は、逆サイドに立っていた。
 
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