小悪魔な彼
 
意識してしまっているせいか、あたしからの会話はほとんどない。
葵ちゃんからの一方的な会話だった。


20分ほど並び、ようやく自分たちの番。

賽銭箱の人波をかき分けて、あたしたちは前に出た。


「何をお願いするんですか?」
「秘密」


隣で聞いてくる颯太に、もちろん秘密と答える。


去年の初詣……
あたしは三浦先生のことを願った。


だけど今年は違う。
そして来年からもずっと一緒。
 
< 311 / 416 >

この作品をシェア

pagetop