小悪魔な彼

　
「悪かったな……」
「え？なんで猛にぃが謝るの？」
「あんなんでも、俺の妹だし」
「……」


颯太とキスをしていたのは、葵ちゃん。

確かに猛にぃの妹でもあるけど……


「猛にぃは関係ないよ」


問題を起こしているのは、あの二人だ。


いや……


もしかしたら、あたしのほうがもう邪魔なのかもしれない。


「さっきから、携帯がすげー、ブーブーいってんだけど」
「え？」


言われて気が付いた。

部屋の片隅に置かれた鞄から、ひたすら響くバイブ音。

ずっと自分のことでいっぱいいっぱいで、言われるまで気が付かなかった。


鞄から携帯を取り出す。

ディスプレイに映っているのは……


「……」


やっぱり颯太だった。