小悪魔な彼
 
「ったく……
 10年我慢できたんだから、これくらいのことで暴走してんじゃねぇって話だよなっ」

「……」


猛にぃは、笑ってそう言った。

その笑顔は、切なげで、胸がキュンと痛くなった。


「猛にぃ……」


あたしは、涙をぬぐってくれた手を取る。

こんなにも想ってくれる人の手を、邪険になんか出来ない。


「あたし……ちゃんと颯太と話してくるから」
 
< 330 / 416 >

この作品をシェア

pagetop