小悪魔な彼
そんなことしてない、って……
香澄のただの見間違いだよ、って……
すぐに笑い飛ばしてくれればよかった。
それなのに、その一瞬の間が、事実だったと物語る。
「……ど…してっ……
どうしてっ!!」
あたしは颯太の胸をドンと叩いた。
「なんでそんなことしたの?!
颯太はあたしのことが好きなんじゃなかったの?」
「好きですよ!
誰よりもっ……これ以上ないってくらい、香澄が好きです」
「じゃあ、なんでっ……」
颯太の顔を見上げると、やっぱり颯太は言葉を詰まらせた。