小悪魔な彼
20章 優しさの裏
「香澄!」
部屋でぼーっとしていると、お兄ちゃんがあたしの部屋の扉を開けた。
今日は最後の冬休み。
明日から学校だ。
「猛が来てんぞ」
「え……?」
最後の休みに現れたのは、猛にぃだった。
颯太とはあれから一度も連絡をとってない。
何度も自分から電話をかけてみようと思ったけど、ディスプレイを見つめては携帯を握った手を落とす。