小悪魔な彼
「お前も休み、今日までなんだろ?」
「うん」
「だから、今日中にきめねぇとな、って」
「何を?」
「いや、なんでもねぇ」
自分にしか分からない言葉。
それを訪ねても、真相は教えてくれなかった。
「上がって」
「お邪魔します」
バイクだと、家から猛にぃのアパートは10分くらいで着いた。
あたしは、もうだいぶ慣れた猛にぃの部屋に入っていく。
「適当にくつろいでていいから」
「あ……うん…」
小さなテーブルの前に腰掛けて、あたりを見渡した。
思えば、前回まであった、葵ちゃんの私物が見当たらない。
「葵ちゃんは?」
「さっき帰った。あいつも学校始まるからな」
「そっか…」
それを聞いて、少しだけほっとした自分がいたのは確かだった。