小悪魔な彼
 
結局、葵ちゃんとは話せないままだった。


颯太にどうしてキスしたのか。

最初から告白をするつもりだったのか。

颯太が何を隠しているのか。


葵ちゃんには、一回だけ電話をかけてみたけど、それに出ることはなかった。


そんなことをぼーっと考えていると、キッチンのほうから、ジューッという音が聞こえた。

包丁のリズミカルな音も同時に聞こえ、いい匂いが漂ってくる。


あ…猛にぃが何か作ってんだ……。

 
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