小悪魔な彼
部屋からは、猛にぃの背中しか見えない。
覗いてみようかな、って思ったけど、きっとそういう姿を見られるのは恥ずかしがると思い、背中だけで我慢した。
そして15分くらいしたところで……
「お待たせ」
「……わー……」
いい匂いを漂わせた、料理が盛られたお皿が運ばれた。
「これ……猛にぃが作ったんだよね……」
「今、その姿を見てたんだろ」
「あ、バレてた?」
「背中に視線がグサグサ刺さってた」
「ははっ」
そう言いながらも、再びキッチンに行って、今度はお茶とサラダのお皿を持ってくる。
小さなテーブルには、キノコのクリームパスタの大皿と、色とりどりの野菜がつまったサラダでいっぱいになった。