小悪魔な彼
 
初めて知った。
葵ちゃんの本当の気持ち。

あたしはずっと、葵ちゃんに嫌われていたんだ……。


「何も努力しないで、人に好かれてばっかでさ。
 あたしがどれだけ苦労して、今の自分を手に入れたか……」

「べつに、お前を好きだって言ってくれる男はいっぱいいんだろ」

「いるよ!
 だけどどいつもこいつも……」

「浮気男ばっかり、だろ」

「……」

「仕方ねーじゃん。
 お前が、うわっつらしかねぇ人間なんだからよ」

「ちょっと!
 それでも兄貴?ちょっとは妹の肩ももってよ!」


体がワナワナと震えていくのが分かった。


悲しさ…絶望…怒り……。

それよりも、信じていたものへの裏切りだ。
 

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