小悪魔な彼
 
「……全部……猛にぃたちの仕組んだことだったんだね」


悲しみに満ちた瞳を向け、今思っている感情を吐き出そうと思った。


「猛にぃのこと……本当に信じてた。
 あたしのこと心配して、心から励ましてくれているのかと思ってた」


(な!笑顔になっただろ)


おいしい手料理を作ってくれ、あたしを笑顔にさせてくれた。


だけど……

その笑顔を崩したのは、もともと猛にぃたちだったんだ。



「香澄!でも俺は……」
「好きだから?
 好きだったら、ほかの人を陥れてもいいの?」
「…そ、れは……」


颯太は言ってた。


(俺は香澄が好きです。
 だから……ちゃんと幸せになれる相手を選んでください)


自分の気持ちよりも、相手の気持ちを優先させるように……。
 
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