小悪魔な彼
 
 
「ごめんね。
 やっぱりあたし、そんな猛にぃのことは好きになれない」

「……」


どんなに理想の人であっても…
どんなに長い間想ってくれていたとしても……


人を陥れるような人は、絶対に好きになれないから。



「葵ちゃん」


次に葵ちゃんに視線をうつすと、葵ちゃんは一瞬ビクッとなった。


「葵ちゃんはあたしのことを恨んでたかもしれない」


特別、葵ちゃんに何かした覚えはない。

だけど小さい頃、葵ちゃんが引っ越してから知ったことがあった。

葵ちゃんが好きだった子が、あたしを好きだったと……。

あの時のあたしは、猛にぃのこともあり、若干男嫌いになっていて、その子のことなんてどうでもよかった。


きっとそう言ったことも、葵ちゃんから恨まれる一つのことだったんだよね。



「でもあたしは……
 葵ちゃんと一緒にいて、楽しい思い出ばかりだったよ」

 
< 375 / 416 >

この作品をシェア

pagetop