小悪魔な彼
「俺の幸せは、香澄が幸せになることだから……。
それくらい、香澄のことが好きなんだ……って……
そう思ってた」
そう言った瞬間、颯太はあたしのほうへ振り向き、肩を引き寄せた。
「だけどやっぱり無理だ。
俺は香澄の傍にいたい。
俺が香澄を幸せにしたい。
誰よりも……ずっとずっと香澄のことが好きだから」
「……颯太…」
抱き寄せる腕は、微かに震えているような気がして、胸がキュンと痛くなった。