小悪魔な彼
 
「……かすみ……」

「あたしが好きなのは颯太。
 何度も言ったでしょ?
 颯太を好きになって、もう年とかそういうのは気にしてないって……。
 颯太は十分頼れるし、逆に時々見せる無邪気な子供の顔も大好きなんだよ」


颯太の頬に触れて、じっと颯太の瞳を見つめた。


「ごめんね。葵ちゃんとのこと……。
 変に責めちゃって……」

「それは……俺が悪いんです」

「ううん、そんなことない。
 あたしを傷つけないようにしようとしたんでしょ?」

「……」


今なら分かった。

一方的に葵ちゃんにキスされたのに、あたしに本当のことを話せなかった理由。


(……香澄は……葵ちゃんのこと、どう思ってますか?)
(どうって……。
 大切な友達だよ。昔からの……姉妹のような友達)


そう答えてしまったから、颯太は本当のことを言えなくなった。


葵ちゃんの本性を、あたしに教えられなかったから……。
 
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