小悪魔な彼
 
もう終わりだと思っていた恐怖。
大好きな人に嫌われるかもしれない不安。


それを全部取り除けるくらい強く、今は抱きしめてほしい。


「香澄……!」


颯太はあたしを抱きしめた。

その腕は力強くて、だけど優しくて、この世で一番安心する温もりだと思った。



「颯太……。
 ごめんね、ちゃんと信用してあげられなくて……」

「もういいです。
 俺も誤解する行動をとったのは事実だから」



今は謝罪の言葉なんて、お互いに聞きたくないのかもしれない。


そうじゃなくて……
今伝えるべき言葉はそれじゃなくて……



「颯太……大好きだよ」

「俺も……愛してます」



誰にも負けない、愛の言葉だ。
 
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