小悪魔な彼
「俺だって、いつも必死なんですよ」
「……」
少しだけ切なさを帯びた微笑み。
その顔で、そんなことを言うのは卑怯だ。
「早退はしないんですか?」
「……うん」
「それじゃあ、送っていくので、ちゃんと教室で待っていてくださいね」
「嫌」と言えない。
断れない。
だっていつのまにか、あたしは彼の魔法にかかってしまっているから……。
「……峰岸くんのバカ…」
「なんでそうなるんですか」
「知らないっ」
ドキドキなんかしたくない。
こんな年下に、ふりまわされたくなんかしたくない。
だってあたしが好きなタイプは大人の男の人で
好きな人は、三浦先生。
だからこんな年下の峰岸くんなんかに、ドキドキなんかしているわけない。