小悪魔な彼
 
結局、その日は峰岸くんが送ってくれることになった。


いつも一緒に帰ると言っても、あたしの最寄り駅のホームを一緒に降りるまで。
だけどその日は改札を出て、一緒に帰路に着く。


小さいころからずっと歩いてきたこの道を、峰岸くんと一緒に歩くなんて、すごく変な感じがした。



「今日はほんとにちゃんと休んでくださいね」
「うん……。送ってくれてありがとう」
「いえ。香澄先輩のためですから」
「……」


家の前でも、なお優しい言葉をかけてくれる。

さっきから、ドキドキが止まらない。


「熱、ありそうですね」
「…っ」


ふいに頬をぺたっと触ってくる。

再び、一気に熱が上昇するようだった。


「頬が赤いです」
「だ、大丈夫だからっ」


あたしはそれ以上ドキドキさせられるのが嫌で、手が届かないよう一歩下がった。
 
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