小悪魔な彼
職員室を出るころには、残っている生徒もだいぶまばらになっていて、教室からも誰の声もしなかった。
あたしもすぐに帰ろうと思い、すでに夕日が差し込んでいる教室に入る。
だけど入った瞬間、思わず声が漏れた。
「あっ……」
誰もいないと思っていた教室。
だけどそこには、あたしの机について、うつぶせのまま眠る峰岸くんの姿があった。
「……なんで…」
確かに、「先に帰ってて」というメールは入れておいた。
だけどあたしの鞄を大事に抱えながら、彼はここで眠っている。
あたしはそっと彼に近づいてみた。
「……」
規則正しい寝息を立て、眠る峰岸くん。
その綺麗な顔に、思わず息を飲んだ。