小悪魔な彼
 
「バカですね。
 報われもしないのに、三浦先生のところに通いつめて」

「なっ!そんなの分からないじゃん!」

「香澄先輩はどうしたいんですか?
 先生と生徒の禁断の関係でも望んでいるんですか?」

「それは……望んでない。
 だけど卒業したらっ……」

「それがバカだって、言っているんです」

「だからっ……」


あまりにも、人をバカ扱いをする峰岸くんに腹が立って、キッと睨みあげると、なぜか峰岸くんは切なそうな瞳をしていた。

あたしはつい、言葉を失ってしまう。


「あいつのことなんて、やめておいてください」

「そんなこと……言われたって……」



「俺がいますから」

「…っ」



突然引き寄せられた体。

気が付くと、あたしは峰岸くんに抱きしめられていた。
 
< 60 / 416 >

この作品をシェア

pagetop