小悪魔な彼
 
教室のドア付近に三浦先生が立っていて、
1年から3年の女子生徒すべてが、先生を囲って輪を作っていた。


ブーイングや嘆き、質問に、全て苦笑しながら答える先生。

あたしはその輪にすら入れず、一歩引いて、その姿を見ていた。


「あ!指輪っ!!」


一人の生徒が気が付いて、先生の手を取る。

反射的にあたしも顔を向けると、そこには今までなかった、左手の薬指の指輪。



ああ……
先生は、本当に結婚してしまったんだ……。

あたしは気持ちを伝えられないまま、失恋……。



「……ぁ…」



その時、教室にいる峰岸くんと目が合った。

あたしは……


「…っ」


ついその場から、駆けだしてしまった。
 
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