小悪魔な彼
「決めていたんです。
香澄先輩よりも、10cm以上背が高くなったら、香澄先輩の前に姿を現そうって……。
でもなかなか勇気が出なくて、もたもたしてたら、15cmくらい高くなっちゃってました」
「何それ……」
「男としてのプライドです」
苦笑まじりの笑顔。
目の前にいる峰岸くんは、見上げるほどあたしよりも背が高い。
「結局、俺から姿を現す前に、香澄先輩がハプニングを起こしてくれて助かりましたけど」
「……もうっ…本当はあれ、仕掛けてたんじゃないの?」
「失礼な。
しかけてはないですよ。
でも、あの日、香澄先輩のもとへ行こうとしたのは事実です」
「え?」
まだまだ、あたしが初めて聞くことがいっぱい。
つい次の言葉が聞きたくて、峰岸くんの顔をじっと見た。