小悪魔な彼
 
「こんな格好をしていれば、年下には見えないでしょう?」
「……そ、そんなことないよっ」


つい、心で思っていたこととは反対のことを言ってしまう。


颯太の言っていることは図星。
とてもじゃないけど、今の颯太はあたしの後輩なんかには見えない。


「香澄先輩は天邪鬼ですね」
「ちがっ……」
「顔は正直に赤くなってます」
「…っ」


つい両手で頬を押さえると、その姿を見て颯太はくすくすと笑う。


「か、からかわないでよっ」
「からかってませんよ。
 でも、私服で会うと、いっきに前進しそうですね」
「……」


やっぱり、その容姿は卑怯だ。
 
< 97 / 416 >

この作品をシェア

pagetop