小悪魔な彼
 
映画館について、飲み物を買うと席に着く。

上映開始10分前だ。


「結構混んでるね」
「そりゃ、始まったばかりですからね」


座席はほぼ埋まりそうな感じで、端の席にしておいて正解だったと思った。

飲み物に口をつけていると、ふわりと膝の上に何かがかかった。


「え?」
「映画館って、意外と冷えますから」


膝にかけられたのは、颯太のジャケットだった。

ブランケットがわりに使っていいという気遣い。


「でも……颯太は寒くないの?」
「平気です。それに……」


体を少し傾け、あたしの耳元に顔を近づける。


「そんな脚、見せられ続けたら、俺我慢できなくなりそうなんで」

「!!」


一気に体が熱くなり、膝にかかっているジャケットがいらなくなりそうだ。
 

もう…
この色男をどうにかしてほしい……。
 
< 99 / 416 >

この作品をシェア

pagetop