小悪魔な彼
映画館について、飲み物を買うと席に着く。
上映開始10分前だ。
「結構混んでるね」
「そりゃ、始まったばかりですからね」
座席はほぼ埋まりそうな感じで、端の席にしておいて正解だったと思った。
飲み物に口をつけていると、ふわりと膝の上に何かがかかった。
「え?」
「映画館って、意外と冷えますから」
膝にかけられたのは、颯太のジャケットだった。
ブランケットがわりに使っていいという気遣い。
「でも……颯太は寒くないの?」
「平気です。それに……」
体を少し傾け、あたしの耳元に顔を近づける。
「そんな脚、見せられ続けたら、俺我慢できなくなりそうなんで」
「!!」
一気に体が熱くなり、膝にかかっているジャケットがいらなくなりそうだ。
もう…
この色男をどうにかしてほしい……。