きょうもこたえはおしえません

それにしても、何故洒落た喫茶店の店長がそんなことを頼むのか。

わけを聞くとソイツらに脅されていたようで。詳しくは面倒臭いので聞かないでおこう。


「あ、ありがとうございますっ。日時は今日の夜10時、港の第二倉庫にいます」

「りょーかい、りょーかい。あ、コーヒーのおかわりくれる?」

「あっ、はい、ただいま!」


そう言うなり店の奥へと引っ込む店長。

残された男はテーブルに肘をつき、ふぅ、と息をこぼした。



「……で?そこでお前はいつまでコソコソしてーんのー?」


「ニシシッ、俺様は姿が見られたくないだけよう。テーブルの下に悪魔様がいるたあ、あのナヨナヨオーナーも腰抜かしてビビるだろうねえ」



テーブルの下からもぞもぞと這い出てきた、牙をキシシと鳴らしているこの全体的に黒い男。

黒いローブに身をつつみ、その磨かれた黒靴でテーブルの上に飛び乗った男、いや悪魔は、いわゆるヤンキー座りをしてコーヒーを煤る男にググッと顔を近づけた。
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