君のことなど興味ないッ!!
その始まり。。。
敵ガ来ル。
ジジジジジ…とセミがないている。暑すぎでしょ!イジョーキショー!とぶつぶつ言いながら歩道を歩く私、赤城千夏は北の森学園に通う高校2年生。もう夏休みなんだけど期末テストで赤点を取っちゃって毎年恒例の夏期講習に強制参加中。だから登校なうなんだ!
暑すぎてフラフラしながら歩いていると後ろから「なにぼさっとしてんの?」と話しかけられた。振り返ると同じ赤点組で親友の明智円香がアイスを食べながら笑っていた。
「おはよ!円香!」
「おはよ!暑いねー」と話しながら二人で歩く。
しばらく歩き続けるともう少しで学校に着く距離まで来た。が、円香のアイスはいっこうに減らない。てか、そもそも…
「なに食べてんの?」すると円香はこちらも見ないで別に…うちの勝手だし、と返した。なんだよ、冷たいな。少し腹が立ったが、毎度のことなのでなにごともなかったことのようにスルーした。そのまま黙って歩き続けると円香がそういやさー、と話しかけた。
「あいつ、まだ嫌いなの?」
「はぁ?!私が嫌いなこと知ってんでしょ!?嫌味か!!」
「いやー、お似合いだから」
「無理無理!大ッッ嫌い!!」ふざけんな!と心から反発した私に、そんなボロクソ言わなくても、と円香が笑った。
私には大ッッ嫌いなタイプがある。それは…
ウザい、しつこい、女好きにあたいするサイテー男子のことだ。ほんとにあり得ないよ!ほんと論外でしょ!
で、円香からでた「あいつ」とは私が嫌いとするタイプ全てにあたいするサイテー男子のことだ。クラスも同じで出席番号も次だし、さらに同じ赤点組。ほんとサイテーだし!
「あ、あいつだ。」円香の呟きに思わず鳥肌が立った。とりあえず逃げないと!ほんとは回れ右して家に帰りたいところなんだけどもう学校門まで来ちゃってるし・・・
頭をフル回転させて円香の後ろに隠れることにした。ばれなきゃいいんだけど・・・
「お~い!!光輝!!円香連れてきたよ~」
と、いきなり円香が私の努力をブチ壊した。ちょっと~!!!!なにしてくれちゃってんの!
円香の空気の読み方は全くだったことを今更ながら思い出す。円香を睨み付けようとすると・・っていない!!前を見ると「あいつ」に話しかけ私を指差した。すると「あいつ」
神楽光輝はダッシュで私の元へ来てしまった。それもち~な~つ~と大声で言いながら。
「はよ!今日もかわいいね」語尾にハートでもつくような口ぶりにはやくもゲンナリ・・
もおぅ!!話たくなぁぁい!!けど、無視はさすがにかわいそうだよね・・・と、私の仏心がでてしまう。
「おはよ、神楽。あのさぁ~前も『ちなつ』って呼ぶのやめてって言ったじゃん!あんたバカなの?!」 ほんとにこれ言うの何回目だろ・・。
「まぁ確かに俺はバカだけど、同じ赤点組の奴が言えるセリフじゃなくね?それ?」
カッッッッチーーーン。なによ人のことバカにしやがって!!確かにあんたと同じ赤点組だけど・・。耐え切れずに私より高い顔に向かっておもいっきり睨み付けた。
「バカにバカって言われたくないんですけど!!」でも神楽は怯む様子もなく、
「はいはい、ごめんね。ちなつちゃん」ヘラヘラ笑いながら私の頭をなでる。
「は~い、そこちょっと!!朝っぱらからイチャつくんじゃな~い!出席始まるよ~」
と円香が言う。誰のせいだと思ってんだよ!!内心キリキリしたが、黙って従う。
すると神楽がいきなり私の肩を掴んで自分の隣に引き寄せた。そして一言。
「お前の隣の席、俺予約したから。べんきょ―教えてよ」と一方的に言って校舎へ入ってしまった。
・・・これだから嫌なんだよ。急に優しくなったり、少しは期待しちゃっていいような言葉囁いたり。私をどうしていってわけ?勘違いしちゃうじゃん。
もう泣きたかった、不覚にもいま私の顔は真っ赤になっているに違いない。
なんで、なんで、なんで?なんでこんなことするの?これって罠でしょ、引っかかるわけないしバーカ。
もう私は神楽の言葉を信じないし、もしかしてって思うこともなくなったんだから。
あの時から、あの瞬間から・・・嫌い嫌い嫌い。
これだから女好き嫌いなんだよ・・・。質問です。皆さんには気になっている人に期待していい言葉を言われました。皆さんは舞い上がりましたが、それが・・・それがもし嘘だったら、あなたの反応を楽しむだけで発せられていたら、皆さんはどうしますか?
私だったら・・・私は・・・・
もう、その人を信じません。
「神楽のバァァァァァァァカ!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして今日も最大の敵との戦いが始まった。
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