The side of Paradise ”最後に奪う者”

電話を終えると成介が部屋の入り口に立っていた。

さやかに対しての電話だとわかっていた成介は、厳しい顔をしている。


「春香さんをどうするんですか?
 2兎追うものは1兎も得ませんよ」

「どうするって?
 ミズウルゴイティに会うのは、彼女だけ記憶が抜けているからだ。
 それを埋めないと、気分が落ち着かない。
 別に縒りを戻すつもりじゃない」


全て見抜かれているのに面白くなく、涼は嫌そうに言った。


「単に記憶を発掘するためだけならば、行くのを止めたほうがいいでしょう。
 あなたの為にです。
 彼女に関わるなら、相当の覚悟をしてから行かないといけません」


涼は口をつぐんだ。
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