The side of Paradise ”最後に奪う者”

「健康状態は良くないようですよ。
 今に始まったことではありませんが。
 相変わらず昼夜無く、馬車馬のように働いているそうです。
 睡眠は限界に倒れてとる。
 食事も関心なし。
 抗鬱剤と睡眠薬と栄養剤で凌いでいるようですが、過労死目前です。
 あの頭脳とビジネスセンスをさやかさんは無くしたくないそうで、なんとか状況を改善するために休職、遊学のようですね」

「え?」


涼は1拍置いて間抜けな返答をした。


「しょうがないですね」


成介は部下に向かって、しばらく邪魔しないように告げ、ドアを閉めた。


「さて、話しますか。
 お二人の歴史を」


この男が過去を知らずに、生きていくわけにはいかない。

それでは、つまらないではないか。

成介は口の端で笑った。



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