The side of Paradise ”最後に奪う者”
*
NYに行く前にライナに会っておこうと思った。
全てライナの所から始まったからだ。
「綺樹から電話をもらったときは驚いたけれど、あんたがまだ思い出していないっていうのも驚きね」
「ラナさん相変わらずだね」
涼は苦笑した。
「もったいなかったわね」
「ん?」
ラナは腰に手を当てた。
「苦節10年近くになって、やっと2回目の結婚までこぎつけて、いい感じにいっていたのに」
なんと返事をしていいのやら。
「丁度いい機会よ。
綺樹も協力してくれているんだから、やめたら?」
「やめる」
涼は真剣な表情になって呟いた。
しばらく考え込んでいた。