The side of Paradise ”最後に奪う者”
「じゃあ、少しの間、スペインで仕事をしてようか。
フェリックスもしばらくあなたに着いていたいだろうし」
「大丈夫よ。
予定通り行って頂戴」
フェリックスという歯止めがいなかったら、どういう仕事の仕方をするかわからない。
ぞっとする。
「そうそう、引継ぎは順調だし、今日はこれで上がりなさい」
「上がる?」
「接待して欲しいの」
「接待?」
思いがけない単語とその意味に凄く嫌な顔をした。
「ほら、来たわ」
ウェイターに案内され、歩み寄ってくる涼の姿に綺樹は一瞬にして無表情になる。
それをさやかは見ていた。