The side of Paradise ”最後に奪う者”
涼はかなり驚いた。
煙草だって。
吸うのか。
女が吸うのはたとえ似合っても、どちらかという嫌いだ。
この国でも吸うのは、どちらかというとブルーカラーだろう。
眉をひそませずにはいられなかった。
涼は遅れてコーヒーをすませると、煙草室へ向かった。
ガラス張りの部屋の中にいる。
壁に寄りかかり、シガーにしては細く長いのを慣れた様子でくゆらせていた。
半分まぶたを伏せて床をみつめている。
ガラスケースの中にいる鑑賞物だった。
このまま閉じ込めて持って帰りたくなる。
涼は一瞬くちびるを引き締めた。
なぜそんな痛い表情をしているんだ。
涼は胸を詰まらせてからドアをノックして入った。
ちょっと視線を上げたが、消す様子は無かった。
「行きませんか?」
「どこへ?」