The side of Paradise ”最後に奪う者”
「外へ」
それでも消す気配はなかった。
涼が焦れて取り上げそうになるのを察して、やっと火を消す。
好きにさせることに決めたらしく、その後綺樹は涼の言うがまま大人しく従っていた。
金融街を歩き、証券取引場を見学する。
綺樹は質問されれば手短に答えたが、それ以上はしゃべろうとはしなかった。
涼が時々、じっと見下ろしている視線を感じる。
何かを探ろうとしているような、思い出そうとしているような。
綺樹は気づかぬ振りをしていた。
視線が外れるまでとても息苦しかった。
そんな様子を見せるわけには絶対いかなかった。
ビジネスだ。
そう思ってもひどく応える。